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政府能力強化専門家派遣(政府能力強化)
望月 昭宏
南スーダンは2011年7月に独立した世界で一番若い国ですが、それ以前より1国2政府制のスーダン国の南部スーダン政府として存在してきました。そのため税関制度もスーダン政府のそれと同様の制度、システムであろうと考えたくなりますが、そうではないのです。同じ国であっても異なる政府。北と南の歴史的背景を考慮すれば、予想に反する理由が垣間見えてきます。
20年以上にわたる内戦の末独立を勝ち得ましたが、その代償は甚大なものでした。内戦の影響による極度な人材不足、制度の遅れが多くの分野で見受けられます。税関についても残念ながら決して例外ではなく、プロジェクト開始直後はとにかくプリミティブという印象がぬぐいきれませんでした。
南スーダンの公的機関はどこも似たようなものですが、元兵士の重要な再就職先としての受け皿となっていることもあり、税関職員としての能力、士気、意欲に欠如するものが少なからず存在するのも現実でした。他方、独立前より税関に勤務している税関職員の士気は極めて高く、世界税関機構への加盟を実現した現在、名実ともにインターナショナル・スタンダードを満たす税関への脱皮に向けて真剣に組織改革、制度改革、個々の能力強化に取り組んでいます。
本プロジェクトは技術プロジェクト化への発展・拡大が決定しました。本案件に2年間携わってきた者として当然感慨深いものがあります。やりがいだらけで途方に暮れかけてしまうことも多々ある戦後復興・平和構築支援事業ですが、1つのパーツとして確実に成果と進化を確認できる瞬間は何よりの労いです。