ビっと来ました。あのときの、あの「ひとこと」
「プロジェクトの成果は現地の人たちの努力の結晶。外国人専門家の成果じゃない」
アフリカの農村地域の活動で、あと一歩のところで活動終了を決定した専門家の人のひとこと。
筆者がまだ学生時代、あるNGOのアフリカでの活動を訪問しました。
その活動を行う専門家は自立性のある住民による睡眠病対策に10年近く取り組んでいました。
最初は失敗だらけの活動も、軌道に乗ってきて、あと一歩で住民による自主的な活動に移行する、
その直前に、その専門家は撤退を決意しました。
「あともう一歩で完全な成功になるのに、なぜこの時期に撤退?」
その疑問の答えが欲しくて、その専門家と談義を行い、ふと気が付くと日の出間近になっていました。
その時、空は薄明るく、とてもきれいでした。
その空を見ながら専門家がつぶやきました。
「日の出って一番きれいだよね。昨日までずっと頑張った人たちだけが見れるよね。
プロジェクトの成功は日の出と同じ。頑張った現地の人たちのもの。
外からちょっと来た外国人専門家の成果じゃない。朝焼けを見て、日の出が来ることを確信できたら、その場を去る。これが国際協力の美学」。
あれから早20年近くが経過。うまくいかないプロジェクトも多々あるけど、たまに朝焼けを見れます。そのたびにその専門家のつぶやきを思い出し、現地の人たちの頑張る姿を脳裏に焼き付け、荷物をまとめます。